手術 脊椎骨切り術

背骨の変形を矯正し、身体のバランスを整える手術
背中が大きく曲がっている、身体が前に傾いている、長時間立っていることがつらいなど、背骨の変形によって日常生活に支障が生じることがあります。
こうした脊柱の変形が進行し保存療法だけでは症状の改善が難しい場合は、手術による矯正が検討されることがあります。
脊椎骨切り術は主に胸椎の骨の一部を切除・切開して背骨の角度を調整し、脊柱の変形を矯正する手術です。単に背骨をまっすぐにするだけではなく、患者さんの身体全体のバランスを考えながら、より自然な姿勢を取り戻すことを目指します。

1. 脊椎骨切り術とは

胸椎は、首の下から腰の上まで続く背骨の一部で、12個の椎骨から構成されています。
加齢による変性や過去の脊椎手術、骨折、脊椎疾患などによって胸椎の形が変化すると、背中が強く曲がったり、身体が前方へ傾いたりすることがあります。
脊椎骨切り術では、変形の程度や状態に応じて椎骨の一部を切除し、背骨の角度を調整します。その後、スクリューやロッドなどを用いて脊柱を固定し、矯正した状態を維持します。

2. 脊椎骨切り術の特徴

2-1. 背骨の変形を矯正

骨切り術では変形した脊柱の角度を調整します。
背中の強い曲がりや身体の前傾を改善し、全体のバランスを整えることを目指します。

2-2. 身体全体のバランスを考えた矯正

脊柱の変形は背中だけの問題ではありません。
背骨が前に傾くと、身体はバランスを取るために膝や股関節などを曲げることがあります。そのため、手術では胸椎だけでなく、胸椎から腰椎、骨盤までを含めた状態を確認し、適切な矯正量を検討します。

2-3. スクリューなどによる固定

骨切りによって矯正した脊柱を安定させるため、スクリューやロッドなどの金属製インプラントを使用して固定します。長い範囲にわたって固定する場合もあり、患者さんの変形の状態に応じて固定範囲を決定します。

3. 脊椎骨切り術はどのような病気に行われる?

脊椎骨切り術は、下記の状態のうち主に強い脊柱変形に対して検討される手術です。

  • 成人脊柱変形
  • 脊柱後弯症
  • 脊柱側弯症
  • 脊椎骨折後の変形
  • 過去の脊椎手術後に生じた変形
  • 強直性脊椎炎などによる脊柱変形

4. 脊椎骨切り術の手術方法

4-1. 変形の状態を確認

術前にレントゲンやCT、MRIなどの画像検査を行い、脊柱の変形や神経の状態を詳しく確認します。その結果をもとに、どの椎骨をどの程度矯正するかを計画します。

4-2. 骨の一部を切除

脊柱の変形が強い場合には、変形の程度に応じて椎骨の一部を切除します。
骨を調整することで、脊柱を矯正するための角度を作ります。

4-3. 脊柱を矯正・固定

骨切りを行った後、脊柱を適切な位置まで矯正します。
その状態を維持するため、スクリューやロッドなどを使用して脊柱を固定します。

5. 脊椎骨切り術の注意点・合併症

脊椎骨切り術は、身体への負担も大きい手術です。
神経症状などの合併症に十分注意して手術を行う必要があります。
また、感染症、出血、インプラントの問題、骨癒合不全などのリスクもあります。
手術を受ける際には、期待される効果だけでなく、手術に伴うリスクについても医師から十分な説明を受けることが重要です。

6. 術後のリハビリテーション

術後は身体の状態を確認しながら、段階的にリハビリテーションを行います。
まずは離床や歩行訓練から開始し、徐々に日常生活に必要な動作を練習していきます。
下肢の筋力や体力の回復を図り安全に日常生活へ復帰できるようサポートします。

7. 初診から退院までの流れ

7-1. 初診

症状やこれまでの治療歴について詳しく確認し、レントゲン、CT、MRIなどの画像検査を行います。脊柱の変形の程度や神経の状態を確認します。

7-2. 手術適応の判断

症状や画像検査の結果、脊柱全体のバランス、日常生活への影響などを総合的に判断し、手術が適しているかを検討します。

7-3. 術前検査

血液検査や心電図などの全身状態の検査を行います。

7-4. 脊椎骨切り術

変形した脊柱の状態に応じて骨切りを行い、脊柱を矯正します。
矯正後はスクリューやロッドなどを使用して固定します。
ほとんどの場合、骨移植術を併用します。

7-5. 術後リハビリテーション

全身状態を確認しながら離床・歩行訓練を開始し、徐々に日常生活動作の回復を目指します。

7-6. 退院

歩行や日常生活に必要な動作の回復状況を確認したうえで退院となります。

7-7. 外来フォロー

退院後は定期的に診察を行い、脊柱の状態や画像検査で、固定した部分の状態などを確認します。

8. 退院後の生活とフォローアップ

退院後は、手術した脊柱の状態を安定させるため、医師の指示に従って生活することが大切です。
特に術後早期は、腰や背中に大きな負担がかかる動作を避けるなど、日常生活上の注意が必要となる場合があります。
定期的な診察や画像検査を行いながら、回復状況を確認していきます。

9. 一人ひとりの脊柱の状態に合わせた治療を

脊柱の変形は、患者さんによって原因や変形の程度、症状が異なります。
そのため、手術では「どれだけまっすぐにするか」だけではなく、脊柱全体と骨盤を含めた身体のバランスを考えて矯正することが重要です。
脊椎骨切り術は、強い脊柱変形に対して、骨の形を調整しながら脊柱を矯正・固定する治療方法の一つです。
背中の曲がりや身体の前傾、痛みなどによって日常生活に支障を感じている方は、お気軽にご相談ください。

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