手術 環軸椎固定術

第1頚椎と第2頚椎を固定し、首の不安定性や脊髄への圧迫の改善を目指す手術
首の痛みや手足のしびれ、筋力低下、歩行障害などがあり、薬や装具、リハビリテーションなどの保存療法で十分な改善が得られない場合には、手術が検討されることがあります。
環軸椎固定術は首の上部にある第1頚椎(環椎)と第2頚椎(軸椎)をスクリューやロッドなどで固定し、頚椎を安定させる手術です。不安定になった環椎と軸椎を固定することで、脊柱の安定化と脊髄・神経への負担軽減を目指します。

1. 環軸椎固定術とは

頚椎は7つの椎骨から構成されており、その中でも第1頚椎(環椎)と第2頚椎(軸椎)は、頭と首をつなぐ重要な役割を担っています。
環椎と軸椎の間には、首を左右に回す動きを可能にする関節があります。
外傷や骨折、靱帯の損傷、関節リウマチなどによる変化、先天的な異常などで環椎と軸椎の間に不安定性が生じることがあります。
この部分が不安定になると脊髄が圧迫され、手足のしびれや筋力低下、歩行障害などにつながることがあります。
環軸椎固定術では環椎と軸椎をスクリューやロッドなどで固定し、動揺を抑えることで頚椎の安定化を図ります。
必要に応じて脊髄への圧迫を取り除く除圧術を組み合わせることもあります。

2. 環軸椎固定術の特徴

2-1. 不安定な環椎・軸椎を固定

環椎と軸椎の間に不安定性がある場合、スクリューやロッドなどを使用して固定します。不安定な部分の動きを抑えることで、脊柱を安定させ、脊髄や神経への負担を軽減することを目指します。

2-2. 脊髄への圧迫を軽減

環椎・軸椎のずれや変形によって脊髄が圧迫されている場合には、必要に応じて椎弓切除になる除圧術を行い、確実な神経症状の改善を目指します。

2-3. 骨癒合による長期的な安定化

環椎と軸椎を金属製のインプラントによる固定と同時に骨移植を行い、骨が癒合することを目指します。骨癒合が得られると長期的に安定した状態を作ることが出来ます。

2-4. 原因や状態に応じて固定方法を選択

環軸椎の不安定性にはさまざまな原因があり、患者さんによって骨の形状やずれの程度も異なります。そのため、CTやMRIなどの画像検査を行い、血管や神経など周囲の重要な構造にも配慮しながら、患者さんの状態に適した固定方法を検討します。

3. 環軸椎固定術はどのような病気に行われる?

主に環椎と軸椎の間に不安定性や変形が生じている下記の場合に検討されます。

  • 環椎骨折
  • 軸椎骨折
  • 環軸椎亜脱臼・脱臼
  • 外傷による環軸椎不安定性
  • 関節リウマチなどによる環軸椎不安定性
  • 先天性の環軸椎異常
  • 歯突起骨折による不安定性
  • 環軸椎周辺の変形や不安定性
  • 環軸椎部の脊髄圧迫

症状やCT・MRIなどの画像検査で、不安定性の程度、脊髄への圧迫状態などを総合的に判断し、手術の必要性を検討します。

4. 環軸椎固定術の手術方法

一般的には全身麻酔で手術を行い、首の後ろ側から環椎・軸椎へアプローチします。
手術中は、脊髄や神経、周囲の重要な血管などに十分注意しながら手術を進めます。

5. 環軸椎固定術の注意点・合併症

環椎・軸椎周辺には脊髄や神経、重要な血管などが存在するため、手術に伴って神経障害や血管損傷などが生じる可能性があります。
そのほか、感染症、出血、髄液漏、インプラントの問題、骨癒合不全などが起こる可能性があります。また、環椎と軸椎は首を回す動きに大きく関わるため、この部分を固定することで、術後に首を左右に回す動きが制限されることがあります。
特に固定範囲や術前の頚椎の状態によって首の可動域への影響は異なります。
手術を受ける際は期待される効果だけでなく、手術に伴うリスクや術後の首の動きへの影響についても、医師から十分な説明を受けることが大切です。

6. 術後のリハビリテーション

術後は全身状態や神経症状を確認しながら、段階的にリハビリテーションを行います。
まずは離床や歩行訓練で日常生活に必要な動作の回復を目指します。
手術前から筋力低下がある場合は、患者さんの状態に合わせて筋力増強訓練や歩行訓練などを行います。固定した頚椎に過度な負担をかけないよう注意しながら、身体機能の回復を進めていきます。
首を動かす範囲は手術内容や固定範囲によって異なるため、医師や理学療法士の指示に従ってリハビリテーションを進めることが重要です。

7. 初診から退院までの流れ

7-1. 初診

首の痛みや手足のしびれ、筋力低下、歩行状態などについて詳しく診察します。
必要に応じてレントゲン、CT、MRIなどの画像検査を行い、環椎・軸椎の骨の状態や不安定性、脊髄の圧迫状態などを確認します。

7-2. 手術適応の判断

症状や画像検査の結果、環椎・軸椎の不安定性、骨折や変形の程度、脊髄への圧迫状態などを総合的に判断し、手術が適しているかを検討します。
手術を行う場合には、固定する範囲や除圧の必要性などを検討し、患者さんに適した手術方法を決定します。

7-3. 術前検査

安全に手術を受けていただくため、血液検査や心電図などの術前検査を行います。
また、服用中のお薬についても確認し、必要に応じて休薬などのご案内を行います。

7-4. 環軸椎固定術

首の後方から環椎・軸椎へアプローチし、必要に応じて脊髄の圧迫を解除します。
その後、スクリューやロッドなどを使用して環椎と軸椎を固定し、骨移植を行います。

7-5. 術後リハビリテーション

全身状態や神経症状を確認しながら離床・歩行訓練を開始します。
回復状況に合わせて、筋力訓練や日常生活動作の練習などを行います。

7-6. 退院

全身状態や神経症状、歩行などの回復状況を確認したうえで退院となります。
退院後の生活上の注意点や、首を動かす際の注意点、必要なリハビリテーションについてもご説明します。

7-7. 外来フォロー

退院後は定期的に外来で診察を行い、首や手足の症状や固定した部分の状態などを確認します。必要に応じて画像検査を行い、骨癒合やインプラントの状態を確認します。

8. 退院後の生活とフォローアップ

環軸椎固定術後は、固定した部分が安定するまで、首に過度な負担をかけないことが大切です。術後は首を左右に回す動きが制限される場合があるため、日常生活では身体ごと向きを変えるなど、首に無理な動きをさせないよう注意することが必要です。
また、骨癒合が得られるまでには時間がかかるため、自己判断で活動量を増やさず、医師の指示に従って徐々に日常生活へ復帰していくことが重要です。
定期的な診察や画像検査によって、骨癒合の状態やインプラントの状態、神経症状の改善などを確認します。
仕事や運動への復帰時期については、手術内容や回復状況によって異なるため、医師の指示に従って段階的に復帰します。

9. 一人ひとりの頚椎の状態に合わせた治療を

環椎と軸椎は、頚椎の中でも特に重要な役割を担っており、この部分の不安定性や変形は、脊髄神経に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、治療では症状だけでなく、環椎・軸椎の骨の状態や不安定性、脊髄への圧迫、周囲の血管や神経の状態などを総合的に確認することが重要です。
環軸椎固定術は、スクリューやロッドなどを用いて第1頚椎(環椎)と第2頚椎(軸椎)を固定し、必要に応じて脊髄の圧迫を解除するとともに、骨癒合による長期的な安定化を目指す治療方法です。
首の痛みや手足のしびれ、筋力低下、歩行のしづらさなどが続いている方や、頚椎の不安定性・骨折などを指摘されている方は、症状を我慢せず、まずは専門医にご相談ください。

米倉脊椎・関節病院03-3855-4154

〒123-0873東京都足立区扇3丁目13番14号

診療科目:整形外科、リハビリテーション科、内科、麻酔科

診察日

月曜日~土曜日
日曜日、祝日、第1・3・5土曜午後は休診

診療時間

午前9:00~12:00(受付時間8:30〜11:30)

午後14:00~17:00(受付時間13:30~16:30)

日暮里舎人ライナー 高野駅徒歩2分