人工股関節置換術
1: 人工股関節置換術とは
股関節の痛みによる痛みや歩行障害は日常生活の質に大きく影響します。
人工股関節置換術はこれらの症状を改善し、再び快適な生活を取り戻すための効果的な治療手段の一つです。
当院では患者さん一人ひとりの症状や生活背景に寄り添い、最適なタイミングと方法で手術をご提案します。
股関節の痛みの大幅な軽減、歩行機能・活動性の回復が期待できます。
2: 当院の手術の特徴と強み
2-1: 筋腱を完全に温存する最小侵襲手術(MIS)
当院では、股関節周囲の筋肉・腱を切離することなく完全温存する手術方法を採用しています。
具体的には中殿筋群や外旋筋群を温存し、解剖学的な機能を可能な限り保ちながら手術を行います。
これにより、
- 術後の脱臼リスクの低減
- 自然な筋力回復
- 早期リハビリ開始
が可能となり、よりスムーズな社会復帰を目指すことができます。
2-2: 傷口を小さくすることで身体への負担軽減を目指す
皮膚切開は約10cm前後と、可能な限り小さく抑えています。
ただし、安全で確実な手術操作を最優先しており、無理な小皮切を追求することはありません。
これにより手術の安全性を維持しつつ傷の治りも良好となり、術後の痛みも軽減されます。
2-3: 術翌日から立位・歩行練習を開始
手術の翌日にはリハビリスタッフのサポートのもと、立位保持と可能であれば歩行練習を開始します。
できるだけ早い段階で身体を動かすことで血栓症などのリスクを減らし、筋力低下も防ぎます。
順調な経過であれば術後1週間以内の退院も可能です。平均的には1〜2週間の入院期間を予定しています。
早期退院が困難な場合には、さらに入院リハビリテーションを行うことも可能です。
3: 手術方法と使用する人工関節
手術は股関節の前外側もしくは前方からアプローチし、筋肉を切らずに筋肉を分けて関節に到達します。
関節軟骨が傷んだ部分を切除し、人工関節を正しい位置に設置します。
使用する人工関節は骨セメントを使用せずにインプラントを骨に直接固定するセメントレス固定型を標準としています。
素材は骨との生体適合性が高いものを採用しています。
レントゲン検査やCTによる事前検査を通じて患者さんの骨質・骨形状に最適なインプラントを選定します。
金属アレルギーの既往がある方に対してはアレルギーに配慮したインプラントのご提案も可能です。
4: 術後の生活とリハビリテーション
当院では、術後の早期立位・歩行開始を基本としています。手術翌日には歩行器などを用いながら歩行練習を始め、日常生活動作の自立を目指します。また術後の経過が順調な場合、退院後に特別な動作制限や運動制限を設けることはありません。日常生活も通常通り行っていただけます。
スポーツ活動についても体力と股関節機能の回復に応じて、ゴルフ、ハイキング、軽いランニングなど幅広い活動を無理なく再開できるようサポートしています。
ご希望に応じてリハビリ期間を柔軟に調整し「より安心して生活を再開したい」という方には数週間単位でのリハビリ延長にも対応しています。
5: 合併症とその対策
人工股関節手術は安全性の高い治療法ですが合併症リスクがゼロではありません。
当院では、以下のリスクに対して万全の対策を講じています。
- 感染症予防
術中の厳重な無菌操作、術後の抗菌薬投与を徹底しています。 - 血栓症・肺塞栓症予防
早期離床、弾性ストッキング着用、必要に応じた抗凝固療法を実施しています。 - 脱臼予防
筋腱完全温存術式と術後の正しい動作指導により、脱臼リスクを極力低減しています。
リスクに対する備えを十分に行うことで、患者さんに安心して手術を受けていただける体制を整えています。
6: 手術から退院までの流れ
- 初診・診察(レントゲン・CT検査)
- 手術計画の説明・同意
- 術前検査(血液検査・心電図・肺機能検査)
- 手術
- 術翌日からリハビリ開始
- 術後最短1〜2週間での退院
退院後も定期的な外来診察とレントゲン検査を通じて、人工関節の状態を丁寧にフォローしていきます。
7: 退院後のフォローアップ
退院後も安心して生活できるよう、1〜3か月ごとに外来フォローを行い、人工関節の状態、筋力、歩行機能をチェックします。その後は経過に応じて半年~1年ごとの定期診察に移行します。
何かご不安な点があれば、いつでもご相談いただける体制を整えています。
股関節の痛みや機能障害でお悩みの方はぜひ一度ご相談ください。
確かな技術と丁寧なケアで皆様の新たな一歩を支えます。